【設計前に知っておきたい】入居者管理業務とは?賃貸経営成功のマスターキー

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    入居者管理って何?まずはここから

    「入居者管理業務」と聞いても、どんな仕事かピンとこない方が多いかもしれません。

    マンションのエントランスや階段の掃除、ゴミ出しの管理などを想像される方もいらっしゃいますが、それは「建物管理」と呼ばれる別の業務です。

    では、「入居者管理業務」とは一体何を指すのでしょうか?

    私は普段、結論からお話しするタイプなのですが、実はこの「入居者管理業務」は、賃貸経営における本丸とも言える大事なポイント。だからこそ、まずはまわりからじっくり攻めて、核心に迫っていきたいと思います。

    少しだけお付き合いください。

    読み進めていくうちに、
    「入居者管理業務こそ、賃貸マンション経営成功のマスターキーである」ということが、きっと見えてくるはずです。

    入居斡旋業者の役割と限界を知る

    ホームズやSUUMOなどのサイトで気になる物件を見つけて、「お問い合わせ」ボタンを押す。
    名前やメールアドレスを入力すると、その物件の**お取扱店(不動産会社)**から連絡がきて、詳細資料を送ってくれたり、内見に連れて行ってくれたりします。

    このような不動産会社のことを、入居斡旋業者といいます。

    そして、入居者が契約を結ぶと、彼らには家賃1か月分ほどの報酬が支払われます。
    つまり、「契約を決めること」がゴールであり、それ以降の入居後のことには関与しません。

    入居者の人柄や過去のトラブル歴、家賃をきちんと払えるかどうかなどは、基本的にチェックされません。

    「トラブルがあったら家賃債務保証会社が対応するから」と言われることもありますが、実際には保証会社はいわば“取り立て屋”のような役割
    そんな保証に頼らなければならないような入居者が入ってしまっては、マンション全体の雰囲気や資産価値に悪影響を及ぼすリスクがあるのです。(家賃債務保証会社は、サブリースでいう家賃保証会社とは全く別物です)

    家賃滞納者に共通する特徴とは?

    家賃を滞納する入居者には、ある共通点があります。
    それは、金銭感覚が甘く、生活全体がだらしない傾向にあるということです。

    このような入居者は、建物の使い方も粗雑であることが多く、共用部や室内の管理が行き届かない結果、付属設備の破損・汚損が進むケースが少なくありません。

    さらに、いざ退去時になると、
    キッチンや水まわりの交換、床や壁紙の全面張り替えなど、原状回復費用が高額になる可能性も出てきます。

    しかし、家賃を滞納しているということは、すでに手元にお金がない状態
    原状回復の費用を請求しても、支払いに応じてもらえる可能性は極めて低いのが現実です。

    なぜ家賃は最後に払われるのか? 〜法制度の盲点〜

    家賃が滞納される背景には、日本の法律が入居者にとても手厚い保護をしているという現実があります。
    とくに「借地借家法」では、家賃を数か月滞納してもすぐに退去させることはできません

    お金にルーズな人が、手元にお金がなくなったとき、支払いの優先順位はどうなるのでしょうか。
    実際には、以下のような順序になることが多いのです。


    1. 食費(スーパーで食材を買う)
       → 万引きは即逮捕。どうしても払う必要あり。
    2. ガス・電気代
       → 滞納から約20日で止められる。
    3. 水道代
       → 約40日でストップされる。
    4. 携帯電話料金
       → 滞納から約1か月で利用停止。
    5. 家賃
       → 6か月以上滞納しても、法的手続きが必要で、すぐに退去させることはできない。

    このように、「家賃は払わなくてもすぐに困らない」という状況が、滞納を招いてしまうのです。

    そして困るのは、オーナーであるあなたです。
    だからこそ、入居者の質や生活態度まで見据えた長期的に安定した賃貸経営を考える必要があります。

    ホテルなら退室、マンションは…居座れる?

    ホテルに泊まったとき、チェックアウトの時間を過ぎて部屋に残っていると、
    スタッフからやんわり、でも確実に退室を促されますよね。

    最終的にはスーツケースを部屋の外に出されて、
    笑顔で「またのお越しをお待ちしております」と言われるでしょう。

    ところが、マンションの入居者は違います。

    家賃を滞納しても、3か月くらいはそのまま住み続けられます。
    粘れば、半年近く退去せずに済むケースも珍しくありません。

    「そこまでして居座って、気まずくないのかな」と思うかもしれませんが、
    世の中には想像を超える“図太さ”を持つ人もいるのです。

    もちろん、「家賃は払わないけど、静かに礼儀正しく暮らしている人」もごくまれにいるでしょう。

    しかし、ことわざにあるように――

    「一事が万事」

    最初のルーズさが、後々のトラブルにつながる可能性は高いのです。

    若年層の家賃滞納者に共通する「3つの特徴」

    家賃トラブルに長年向き合ってきた司法書士・太田垣章子先生によると、
    家賃を滞納する若い入居者には、いくつかの共通点があるそうです。


    ① 家賃債務保証会社を使っている

    以前は、家賃を滞納した場合、親や兄弟といった連帯保証人に連絡を取り、支払いを促すのが一般的でした。
    ところが最近では、保証人の代わりに家賃債務保証会社を使うケースがほとんどです。

    一見、安心な制度に見えますが、実はここに落とし穴があります。
    保証会社はビジネスとして契約数を増やす必要があるため、審査のハードルが低くなりがちなのです。


    ② 身の丈に合わない部屋を借りてしまう

    月収20万円の若者が、10万円の家賃の部屋に住もうとする──
    そんな状況でも、親なら「やめておきなさい」と言うでしょう。

    しかし、保証会社は止めません。
    むしろ家賃が高いほど、保証手数料が上がるため歓迎されてしまうのです。

    結果として、家賃を払えなくなる入居者を生む構造ができあがってしまっています。


    ③ 退去時に部屋が非常に汚れている

    そして最後に、「部屋の使い方」も共通点のひとつです。
    退去の立ち会いに行くと、目を疑うほど散らかった部屋を目にすることも少なくありません。

    片づけが苦手というよりは、そもそも“借りている部屋を大切に使う”という意識がないのです。
    マナーや礼儀、そして常識といった基本的な姿勢が欠けている――
    そんな入居者が少なからず存在しているという現実があります。

    いよいよ登場!入居者管理業務の真価

    ここまでの話を振り返ってみましょう。


    《お部屋の取扱店(入居斡旋業者)》は、契約を成立させることが目的。
     → どんな入居者でもOKにしたい。(無責任)

    《家賃債務保証会社》は、保証契約を増やすことが目的。
     → 審査が甘くなりがち。(無責任)

    ✅ **《借地借家法》**は入居者に優しすぎる。
     → 家賃を滞納しても、すぐには退去させられない。


    このような状況では、
    本来「ローリスク・安定収入」であるはずの賃貸経営が、いつのまにか
    「ハイリスク・ローリターン」に変わってしまう可能性すらあります。

    では、誰がオーナーを守るのでしょうか?


    ■ その役割を担うのが、「入居者管理業務」

    入居後のルール指導ももちろん重要ですが、何より大切なのは――
    そもそも問題のある入居者を入れないこと。

    そのために必要なのが、
    「入居希望者を厳しく・正当に審査する」という入居前の対応力です。

    しかし実際には、入居者管理業者が
    「この方の入居はお勧めできません」と声を上げると、
    《お部屋の取扱店》から煙たがられたり、
    「あの物件は紹介しにくい」と敬遠されたり…
    そんな見えない圧力や業界内の“いじめ”が起こることもあります。


    そのため、本当に勇気をもって入居者管理を行う会社は、全国でもごくわずか。
    そんな中で、2010年に京都市で設立された、ある《勇気ある入居者管理会社》が注目を集めています。

    次回は、この管理会社が実際にどのような工夫をして、
    オーナーと入居者、両方を幸せにしているのかをご紹介します。

    京都賃貸スタイル 〜勇気ある入居者管理会社〜


    2010年、京都に「京都賃貸スタイル」という小さな会社が誕生しました。
    この会社こそ、私が“勇気ある入居者管理会社”と呼ぶ理由の原点です。

    設立当時、担当者の方がわざわざ私の事務所まで来て、設立の趣旨や理念を丁寧に説明してくれました。

    しかも、

    • CCIM(米国公認不動産投資顧問資格)
    • CPM(米国公認不動産経営管理士)
    • CFP/AFP(ファイナンシャルプランナー)

    といった、難関資格を複数取得しておられ、プロ意識の高さに圧倒されたのを覚えています。


    当時の私はまだ「入居者管理業務の重要性」を今ほどは理解していませんでした。
    でも、説明を聞きながら「この会社、他とは何かが違う」と直感したのです。

    その結果、私が設計を担当した京都近郊の賃貸マンションはすべて、京都賃貸スタイルに入居者管理をお願いすることに決めました。

    私を信頼してくださっているオーナー様方も、
    「安田が言うなら間違いないだろう」という一言で、快くOKしてくださいました。


    ■ 実績と考え方がすばらしい

    京都賃貸スタイルの入居者管理業務委託料は、家賃総額の5%
    サブリースではないため家賃保証はありませんが、常に入居率96〜97%をキープしています。

    一方、サブリース会社に頼めば、10〜20%の手数料が発生することを考えると、
    コストパフォーマンスは圧倒的に優れています。

    私が何より気に入っているのは、彼らの理念です。

    「まず大家さんにしっかり儲けてもらい、その利益の一部を管理業務料として頂く」

    この考え方に、私は深く共感しています。
    正しいことを正しくやる。誰に遠慮も忖度もしない。
    それを実行できる“覚悟のある小さな会社”です。


    ■ その姿勢こそ、私たちの設計と共鳴するもの

    私が設計した賃貸マンションは、「コンセプト×管理体制」を大切にしています。
    建物の性能だけではなく、入居者がきちんと暮らしてくれる仕組みがあってこそ、長く愛されるマンションになります。

    下記のリンクでは、京都賃貸スタイルが管理するデザイナーズマンションのページをご覧いただけます。
    緑で囲まれた建物が、私たちMac建築デザイン研究所の作品です。

    (→ リンク:京都賃貸スタイル・デザイナーズマンションページ)

    なぜ入居率96%を維持できるのか? 〜京都賃貸スタイルの仕組み〜

    京都賃貸スタイルが高い入居率をキープできているのには、いくつかの理由があります。

    まず注目すべきは、「空室がなくても物件ページが表示される仕組み」です。


    空室がなくても「見せ続ける」

    多くのポータルサイトでは、空室があるときだけ物件が掲載され、満室になると自動的に非表示になります。
    しかし京都賃貸スタイルでは、満室でも物件ページが表示され続けるのです。

    これにより、「いまは空いていないけど、こんな素敵なマンションがあるんだ」と
    入居希望者に認知されるチャンスが増えます。

    気に入った部屋があれば、予約待ちも可能
    この仕組みが、空室期間を短縮し、高稼働率を支える要因となっています。


    退去2か月前の通知で、次の入居者を先回り

    一般的には「退去1か月前の通知義務」が通例ですが、
    京都賃貸スタイルでは管理業務の中で入居者と良好な関係を築きながら、
    あらかじめ「退去2か月前通知」をお願いしています。

    その結果、退去が決まった時点で次の入居者探しに着手できるため、空室期間がほとんど発生しません。

    このようなきめ細かな管理対応こそが、
    96〜97%という入居率を支えているのです。

    📩 マンション設計のご相談、お気軽にどうぞ

    これからマンションを建てようとお考えの方へ。

    「建てて終わり」ではなく、
    入居者が安心して住み続けられる、資産価値の高い賃貸マンションをつくりたい――
    そんな思いをお持ちなら、ぜひ一度ご相談ください。

    私たちは、建築設計の段階から
    「入居者管理」「稼働率」「トラブル対策」までを見据えた総合的なご提案を行っています。

    実際に、管理体制まで設計段階で考慮することで、
    長期にわたって安定した経営を実現しているオーナー様が多くいらっしゃいます。


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    ▶︎ 3営業日経っても返事がない場合はこちらにご連絡ください: mac.design.architecture@gmail.com

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