防音マンションは、正しく設計すれば“強い商品”になります。
しかし、考え方を一歩間違えると、空室リスクの高い特殊物件にもなります。
これまで数多くの防音賃貸を設計し、見てきた中で、
「もったいない」と感じるケースには共通点があります。
今日は、これからマンション経営を考えるオーナー様、不動産投資に興味がある方に向けて
よくある3つの勘違いを整理します。
勘違い1:中途半端な防音性能で「音楽専門」とうたってしまう

「音楽OKマンションにすれば差別化できる」
たしかに一理あります。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
音楽家の母数は想像より少ない
音楽を本格的に行う人は、実はそれほど多くありません。
しかも、音楽家ほど防音性能にシビアです。
・本当に練習できるのか
・近隣トラブルにならないか
・演奏可能な時間帯は明確か
曖昧な「防音マンション」では、むしろ選ばれません。
さらに問題なのは、
音楽をしない人を最初から排除してしまうことです。
ターゲットを絞ったつもりが、市場を狭めているケースは少なくありません。
「防音」はスペックで示すべき
防音性能はイメージではなく、数値で示すべきです。
たとえば、
・最大〇〇dBまで許容
・演奏可能時間〇時〜〇時
・遮音等級〇〇相当
高速道路に速度制限があるように、
防音にも「明確なルール」が必要です。
100dBと80dBでは、使用可能な楽器がまったく異なります。
数値を明示すれば、
・音楽家
・動画配信者
・在宅ワーカー
・ペット飼育希望者
・小さなお子様のいる家庭
幅広い層にアプローチできます。
「音楽専用」にするより、
“高性能で用途が広い”方が経営的には強いのです。
勘違い2:防音と足音対策を混同している
ここは非常に重要です。
《防音》と《足音対策》は、まったく別物です。
音の種類が違います。
・空気伝播音(楽器・声)
・固体伝播音(足音・衝撃)
特にクレームの原因になりやすいのは、後者です。
足音は建物全体に伝わる

子どもが走る衝撃。
大人が踵で歩く衝撃。
これはコンクリートに直接伝わると、
建物全体へ広がります。
一度伝わった振動は、簡単には止まりません。
解決策は「浮床構造」

足音対策の基本は《浮床構造》です。
建物本体のコンクリート床の上に緩衝材を敷き、
その上に第二の床を設ける二重構造。
この構造により、衝撃が建物本体に伝わるのを抑えます。
もし浮床を作らずに防音室だけを施工するとどうなるか。
防音壁を躯体に固定した瞬間、
振動はネジを通じて建物全体へ伝わります。
それでは本末転倒です。
防音室と浮床構造は、セットで考えるべき設計テーマです。
勘違い3:防音マンションなら生活ルールは不要?
「24時間演奏OK」とうたう物件もあります。
しかし、高性能であっても
ルール設計は不可欠です。
ルールは“感覚”ではなく“数値”で
「常識の範囲でお願いします」
これは管理としては機能しません。
・音量上限〇〇dB
・演奏可能時間〇時〜〇時
・深夜帯は楽器禁止
客観的な基準があるからこそ、公平に判断できます。
数値があれば、トラブルは感情論になりません。
防音賃貸は“音楽マンション”にしなくていい

適切な設計とルール整備があれば、
入居者層は広がります。
・赤ちゃんのいるご家庭
・ペット飼育希望者
・配信者
・在宅ワーカー
・都心で静かに暮らしたい方
実際に、弊社が設計した「Musik北参道」(36戸)は、防音 × 音響設計 × 足音対策を組み合わせたマンションです。
入居者の約半数は音楽家。
残り半数は一般の方です。
「都会の喧騒を忘れる静けさ」という評価をいただいています。
これは“音楽専用”にしなかったからこそ実現できたバランスです。
まとめ
防音賃貸で成功するためのポイントは3つです。
- 音楽専用にしない
- 防音と足音対策を分けて設計する
- 数値で明示した生活ルールを整備する
大手で満足できなかったオーナー様へ
大手ハウスメーカーは、
「平均的に無難な建物」は得意です。
しかし、
・明確なターゲット設計
・音環境の戦略設計
・入居者属性まで想定した空間設計
ここまで踏み込んだ提案は、標準仕様では難しい場合があります。
防音賃貸は、
単なる設備追加ではなく「商品設計」です。
収益物件として成立させるには、
建築とマーケットを同時に設計する必要があります。
もし、
「差別化できるマンションを建てたい」
「価格競争に巻き込まれたくない」
「長期的に強い物件を持ちたい」
そうお考えでしたら、一度ご相談ください。
物件規模・立地・想定ターゲットに合わせて、
現実的な設計戦略をご提案します。
また、弊社は完成した後の入居者募集までサポートしています。
お問い合わせは下記フォームより承っております。

